レギュラーシーズン最終日の4月12日まで残り約3週間。OKCサンダー、サンアントニオ・スパーズ、デトロイト・ピストンズがプレーオフ出場を確定させた一方で、両カンファレンスの7〜10位は依然として激しい椅子取りゲームの最中にある。
今季のプレーイントーナメント(4月14〜17日開催)は、各カンファレンスの7位から10位の4チームが最後の2枠を争うサバイバル方式だ。7位と8位の勝者はそのまま第7シード確定、敗者は9位と10位の勝者と「一発勝負」で第8シードを争う。つまり、7位で入るか10位で入るかで、プレーオフへの道のりは劇的に異なる。
本稿では、3月22日時点のデータをもとに、東西合わせたボーダーライン5チームを「勝率」「残り日程強度(SOS)」「タイブレーカー状況」「怪我・ロスター」の4軸で比較分析する。
3月22日時点のプレーイン圏スタンディング
まず現状を整理しよう。以下は、3月21日終了時点の東西プレーイン圏のスタンディングだ。
ウェスタン・カンファレンス(プレーイン圏)
| シード | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | 残り試合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 7 | フェニックス・サンズ | 39 | 32 | .549 | 11 |
| 8 | LAクリッパーズ | 35 | 36 | .493 | 11 |
| 9 | ポートランド・トレイルブレイザーズ | 35 | 36 | .493 | 11 |
| 10 | ゴールデンステイト・ウォリアーズ | 33 | 38 | .465 | 11 |
イースタン・カンファレンス(プレーイン圏)
| シード | チーム | 勝 | 敗 | 勝率 | 残り試合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 7 | フィラデルフィア・76ers | 39 | 32 | .549 | 11 |
| 8 | オーランド・マジック | 38 | 32 | .543 | 12 |
| 9 | マイアミ・ヒート | 38 | 33 | .535 | 11 |
| 10 | シャーロット・ホーネッツ | 37 | 34 | .521 | 11 |
西は8位クリッパーズと9位ブレイザーズが同率の35勝36敗で並び、10位ウォリアーズも2ゲーム差。東は7位76ersから10位ホーネッツまでわずか2ゲーム差のなかに4チームがひしめく。残り約11試合という状況で、1〜2試合の結果がシード全体を入れ替える可能性がある。
残り日程の強度(SOS)が示す「有利・不利」
NBA.comのジョン・シューマンが3月1日に発表した残り日程の強度分析(Remaining Strength of Schedule)は、ボーダーラインチームの行方を予測するうえで極めて有効な指標だ。
ここで注目すべきは、累積対戦相手勝率(OppPCT)の差だ。
ウェスト・プレーイン圏の残りSOS
ポートランドの残り日程OppPCTは.428と30チーム中最も楽な日程だ。残り試合のうち、勝率5割以上のチームとの対戦がわずか6試合しかなく、15試合が負け越しチームとの対戦という圧倒的な「楽勝ロード」が待っている。具体的には、ネッツ(2回)やペイサーズなど下位チームとの対戦が残っており、残り6試合でクリッパーズとも2回直接対決がある。
対照的に、サンズのOppPCTは.491とリーグ23位で一見楽に見えるが、残りの13試合中9試合がロードゲームと、ホーム試合の少なさが大きなハンディだ。バックトゥバック(連戦)も6回と全チーム中最多タイである。
クリッパーズは残りSOS .459と27位で比較的楽だが、ホーム14試合・ロード10試合と自宅での試合が多い点は有利に働く。一方で、勝率5割以下のチームとの対戦が15試合と最多であり、「取りこぼさなければ」浮上のチャンスは十分ある。
ウォリアーズの残りSOS .498は中位で、特に楽でも厳しくもない。ただし、ジミー・バトラー不在の影響がNetRtg(100ポゼッションあたり得失点差)で+10.7の低下として表れており、残り試合で戦力的に不利な状況が続く。
イースト・プレーイン圏の残りSOS
ホーネッツは残り日程のOppPCTが.514と、リーグ10番目に厳しい。特にディフェンス上位チームとの対戦が12試合あり、得点力のあるシャーロットにとっては苦しい日程だ。ただし、3月17〜29日にかけて7連戦のホームスタンドがあり、ここでの結果が命運を分ける。
76ersは残りSOS .507とやや厳しめで、さらにロードが13試合と多い。ジョエル・エンビードの稼働率が今季もキャリア通りの低水準で、キャリア通算で出場485試合・欠場485試合というまさに五分五分の数字を残している。エンビードがコートにいるときのNet Rtgは+7.5も改善するため、彼の健康状態がそのまま76ersの順位に直結する。
タイブレーカー状況が浮き彫りにする「隠れた優位性」
同率の場合に順位を決定するタイブレーカー(直接対決の勝敗)は、シーズン終盤になるほど重要性を増す。現時点のタイブレーカー状況を整理する。
ウェストの主要タイブレーカー
サンズはクリッパーズに対してタイブレーカーを確保済み。つまり同率ならサンズが上位に来る。ブレイザーズもウォリアーズに対してタイブレーカー優位にある。一方、クリッパーズはブレイザーズに対して直接対決2勝0敗でリードし、ウォリアーズにも2勝1敗と優位だ。
これが何を意味するか。仮にクリッパーズとブレイザーズが最終的に同率で並んだ場合、クリッパーズが上位に来る。つまりブレイザーズにとっては、残り日程が楽であっても「勝率でクリッパーズを上回る」必要があるということだ。
イーストの主要タイブレーカー
マジックは76ersに対してタイブレーカー優位。76ersとヒートの直接対決は1勝1敗のタイ。ヒートとホーネッツも1勝1敗のタイで、残りの直接対決が事実上のタイブレーカー決定戦になる。
怪我・ロスター状況という「見えない変数」
データ分析で見落としがちなのが、怪我によるロスターの変動だ。今季のプレーイン争いは、怪我の影響が例年以上に大きい。
サンズは今季、デビン・ブッカー、ディロン・ブルックス、ジェイレン・グリーン、グレイソン・アレンのトップ4スコアラー全員が16試合以上を欠場している。新人HCジョーダン・オットの手腕で.549を維持しているのは驚異的だが、主力の復帰タイミング次第ではさらなる上昇余地がある。
クリッパーズはブラッドリー・ビールがシーズン序盤の股関節手術でわずか6試合のみの出場に終わっており、シーズンアウト。さらにクリス・ポールもチームから外されている。それでも35勝36敗を維持している点は評価に値するが、サンズとの4ゲーム差を詰めるだけの戦力的余裕があるかは疑問だ。
ウォリアーズはジミー・バトラーの不在が最大の懸念材料だ。バトラーのオンコート時のNetRtgは+10.7と圧倒的であり、ステフィン・カリー(+2.3)以上にチームへのインパクトが大きい。カリー自身も38歳で、復帰時期は最短で3月下旬のホームゲームと見られているが、レギュラーシーズン残り11試合のうち何試合に出場できるかは不透明だ。
筆者の視点――「残り日程の楽さ」は本当に有利か?
コンサルタント的な視点で一つ問いを投げたい。「残り日程が楽なチーム=有利」という前提は、本当に正しいのだろうか。
NBA.comのデータが示すように、今季のレストアドバンテージゲーム(一方のみ連戦)での勝率は.510と、意外にも大きな差がない。さらに、ロードゲームでの休養優位(.540)がホームでの休養優位(.482)を上回るという逆説的なデータも出ている。
ここから読み取れる構造的な示唆は、「日程の楽さ」よりも「主力のコンディション管理」が最終的な順位を決めるということだ。ブレイザーズの残り日程がいかに楽でも、クリッパーズとの直接対決2試合を落とせばタイブレーカーで不利なまま終わる。逆に、76ersの日程がいかに厳しくても、エンビードが残り11試合のうち8試合以上に出場できれば、+7.5のNetRtg上昇で十分に6位以内への浮上も可能だ。
PhD的な誠実さから言えば、残り11試合というサンプルサイズでは、統計的に有意な予測を立てることは難しい。ただし、構造的な優位性を持つチームは特定できる。私の見立てでは、西はブレイザーズの日程優位が最も「換金可能性」が高く、東はエンビードの稼働率が最大の変数だ。
まとめ
プレーイン圏は、西の8〜10位が2ゲーム差、東の7〜10位が2ゲーム差と、過去数年で最も混戦模様を呈している。残り日程の強度(SOS)、タイブレーカー、怪我状況の3要素を総合すると、西ではポートランドが最も有利な立場にあり、東ではエンビードの健康状態次第で76ersが6位以内に浮上する可能性すら残る。
最終的にプレーインのどのシードに入るかは、4月のプレーイントーナメントでの勝ち上がり確率を大きく左右する。7位で入れば「ダブルチャンス」を手にし、10位で入れば「二連勝必須」のサバイバルだ。たった2〜3試合の差が、プレーオフの景色を根本から変える。
読者のみなさんに問いたい。あなたが最もプレーオフで見たいチームはどこだろうか?そしてそのチームは、残り3週間で必要な勝利を手にできるだろうか?
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